【相続税の申告・納付期限(2)】期限に間に合わない主な理由

直政です。

前回から相続税の申告・納付の期限について解説をしています。

今回の記事では、期限に間に合わない主な理由について紹介をしたいと思います。

相続税の申告期限に間に合わない理由

相続税の申告・納付を行うまでの期間は、亡くなってから10ヶ月もあるため、間に合わないことなどないと思うかもしれません。

しかし、実際には10ヶ月という期間はあっという間に過ぎてしまい、間に合っても期限ギリギリになることもよくあります。
相続税の申告・納付には、どうしてこれほど時間がかかるのでしょうか。

亡くなった人の情報を集めるのが大変

相続税の申告は、亡くなった人の財産の情報をすべて収集し、それらをまとめた上で申告する必要があります。
しかし、肝心の財産の所有者はすでに亡くなっているため、それらの情報をすべてもれなく集めるのは非常に大変です。

遺言書があったり、財産目録を作成していたりすれば、相続人の苦労は大幅に軽減されます。
しかし、そのような事前の準備をしていない場合は、相続人が一から財産についての情報を集める必要があるのです。

相続に関する手続きの書類が膨大

相続が発生した場合、その手続きは相続税の申告だけではありません。
不動産がある場合は相続登記を行いますし、預貯金や有価証券がある場合は、金融機関などで名義変更などを行います。

このような手続きを行う際には、被相続人・相続人・その財産に関する多くの書類が必要となります。

また、相続税の申告を行う際にも、多くの書類を提出しなければなりません。
そのため、手続きを行う度に役場に出かけて書類を取得し、あるいは遠方の役場から取り寄せることとなります。

しかも、相続人全員分の書類が必要となるため、それらの書類がそろうまで数か月かかることもあるのです。

中には一緒に暮らしていた人や、面倒を見ていた人が把握していない相続人がいる場合もあります。

このような場合はすべての法定相続人と連絡を取るだけでも一苦労であり、さらに手続きが遅れる原因となります。

遺産分割協議が成立しない

最大の問題は、遺産を誰が引き継ぐのかを話し合いで決める遺産分割協議が成立するのに、大変時間がかかる場合があることです。

というのも、遺産分割協議についてはいつまでに成立しなければならないというような期限が設けられていないのです。

遺産分割協議には、すべての法定相続人が参加し、その全員が同意しなければ話し合いは成立しません。
仮に1人でも反対の人がいれば、それで遺産分割協議は成立せず、先に進めないこととなるのです。

一方で、このような場合でも相続税の申告・納付期限が延長されることはありません。
そのため、できるだけ相続発生から10ヶ月以内に遺産分割協議を終えて、相続税の申告に間に合わせようとするのです。

なお、遺産分割協議が相続税の申告期限に間に合わなかった場合、法定相続分で相続したものとして申告を行わなければなりません。
その後、遺産分割協議が成立したら改めて申告を行うこととなるため、多くの手間がかかってしまうのです。

次の記事では、相続税の申告の期限を過ぎたときの罰則と間に合わない時の対処法について紹介していきます。