【相続税の申告・納付期限(3)】期限を過ぎたときの罰則と間に合わない時の対処法

直政です。

相続税の申告・納付期限について、本記事で最後になります。

期限を過ぎたときの罰則と、間に合わない時の対処法について解説をいたします。

相続税の申告期限を過ぎたときの罰則

もし相続税の申告・納付の期限を過ぎてしまった場合、どのような罰則が科されるのでしょうか。

様々な控除の適用が受けられない

相続税の計算を行う際には、様々な控除や特例の制度があり、相続税の負担が軽減されるようになっています。

これは、財産を相続した人の相続後の生活を守るためのものであり、要件に該当する場合は大きな減額となります。

中でも大きな減額となるのが、小規模宅地等の特例です。
これは、被相続人の自宅を相続した人が一定の要件にあてはまる場合、その敷地の評価額を最大8割減額できるものです。
ただし、この特例の適用を受ける際には、申告期限内に申告を行うことが原則とされています。

そのため、申告期限を過ぎてしまうと小規模宅地等の特例が適用できなくなる場合があるのです。

加算税などの罰金が科される

相続税に限らず、すべての税金には申告・納付の期限が定められています。
そして、その期限を守ることができなかった場合には、罰金を科されることとなります。

この罰金にはいくつかの種類があります。
相続税の申告を期限内にしなかった場合には無申告加算税の対象となり、税額に対して最大20%の罰金が科されます。
また、納税を期限内に行うことができなかった場合には、延滞税として利息に相当する金額を納付しなければなりません。

この他にも、過少申告加算税や重加算税が計算ミスや財産の隠ぺいなどがあった場合に科されます。
これらも、申告期限ギリギリになってしまった場合に発生しやすいものです。
できるだけ余裕をもって申告・納付できるように準備しておくことが大切なのです。

相続税の申告期限に間に合わない時の対処法2つ

相続人全員が協力して、相続税の申告・納付期限に間に合うように進めてきても、実際にそのとおりに行くとは限りません。
どうしても申告期限に間に合わない場合はどうしたらいいのか、その対処法をご紹介します。

財産の内容に疑義がある場合は概算で申告する

すべての相続財産を把握することができていないため相続税が確定しない場合、その間に申告期限が過ぎてしまうことがあります。

このような場合、すべての財産の把握ができるまで待ってから申告を行うより、期限内に申告を行う方がいいのです。

財産の内容が確定していない場合、その金額を若干多めにしておき、相続税の申告・納付を行います。
こうすることで、無申告加算税や過少申告加算税の対象となるのを防ぐことができます。

また、財産の内容が確定した後に更正の請求を行えば、納めすぎとなっていた税額を還付してもらうことができます。
こうすることで結果的に余分な負担をせずに済むのです。

遺産分割協議が成立しない場合は未分割申告を行う

遺産分割協議がまとまらずに相続税の申告・納税ができない場合があることは、ある程度想定されています。

その場合、法定相続分で相続したものとして相続税の額を計算し、申告することとされています。

また、申告期限後3年以内の分割見込書を申告書に添付して、税務署に提出します。
その後3年以内に遺産分割協議が成立した際に、改めて相続税の計算を行い、還付や追加納付を行うことができるのです。

相続税の申告・納付の期限は厳密に決められており、それを過ぎてしまうと納税者は罰則を受けることとなります。

申告までの期間は10ヶ月あるのですが、やることが多く、また相続人同士の話し合いがスムーズに決着するとは限りません。

そのため、期限を過ぎてしまうような場合もありますし、期限間際にあわてて申告することもあるのです。

期限を超えなかったとしても、あわてて申告することは計算ミスや余分な納税の原因となってしまいます。
余裕をもって申告することができるよう、事前にしっかりと準備しておくようにしましょう。