不動産を保有している場合の相続税対策② ~相続税対策について~

直政です。

今回は前回に引き続き不動産を複数保有している場合の相続対策について解説します。今回は不動産を活用した相続税対策について解説します。

不動産を複数保有している場合の相続税対策とは

不動産を複数保有している場合の相続税対策で検討するべきことは二つあります。

一つは相続税の金額を減らすということです。不動産は一つずつの価値も高額で相続すると相続税がかかります。相続税の負担を少しでも減らすということが重要となります。

二つ目が納税資金の確保です。相続税は原則現金一括で支払う必要があります。しかし、不動産を複数相続した場合、多額の相続税を支払う必要がありますが、手元に現金があるわけではありません。

不動産を複数保有する場合には不動産を相続した際に発生する相続税を支払うことができるかという観点でも注意しておく必要があります。場合によっては相続した資金だけでは払いきれず、不動産を売却し、支払ったり相続人の保有していた財産から支払ったりする必要が生じるケースもあります。

土地に建物を建てたら相続税が安くなる?

土地に建物を建てると相続税が安くなるという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。その理由は土地が自用地から貸家建付地評価となるからです。

自用地とは自分の自宅や駐車場などに利用していて建物が建っていない土地の評価方法で路線価×面積で計算を行います。

一方、貸家建付地とはアパートやマンションを建てて人に貸している場合の評価方法です。人に貸している土地は自分で自由に使えるわけではありませんので、評価の減額があります。

具体的な計算方法は以下の通りです。

自用地評価額×{1-(借地権割合×借家権割合×賃貸割合)}

借地権割合は国税庁のホームページで確認することができます。借家権割合は全国一律30%と定められています。

自用地評価1億円の土地で借地権割合60%、賃貸割合100%の場合の土地の評価は以下の通りとなります。

1億円×{1-(60%×30%×100%)}=8,200万円

また、建物も固定資産税評価は時価の50%~70%程度となりますので、現金を使って保有している土地に建物を建てることで大きな節税効果を得ることができます。

ただし、納税資金不足には注意が必要となります。建物の建築費で現金が減ってしまった場合、相続税を支払うことができない可能性があります。現金が不足する可能性が高い場合は、他の土地を売却して現金を確保しておいたり、建築費用を融資によって賄ったりすることを検討する必要があるでしょう。