直政です。
前回まで特定遺贈と包括遺贈について解説しました。それぞれの概要については以下の記事をご覧ください。
今回は特定遺贈と包括遺贈の使い分けについて解説します。
特定遺贈を選択した方が良いケース
特定遺贈を選択するべきケースについて具体的に解説します。
①特定の人に特定の財産を遺したい場合
特定遺贈は財産と遺す人を特定できることが特徴です。
例えば、自宅不動産や自宅周辺の不動産など、まとめて同じ人に渡したい財産がある場合は特定遺贈で遺す人を決めておくと良いでしょう。
他にも、自身が経営している会社の株など、散逸せずに後継者に確実に遺す人を決めておきたい財産がある場合に有効です。
ただし、特定の財産の価値が保有する財産の大半を占めている場合は配分のバランスや納税資金の確保に注意する必要があります。
②全ての財産の分け方を決めたくない場合
包括遺贈の場合、全財産を誰にどれくらいの割合で遺すか決めることになります。
特定遺贈であれば、一部の財産のみ遺す人を決めることもできます。
例えば、自宅不動産は妻に確実に遺したいと考えているが、他の財産は相続人間で話し合って決めて欲しいと考えている時は特定遺贈が有効です。
包括遺贈を選択した方が良いケース
包括遺贈はどのようなケースで選択すればよいのでしょうか。
①法定相続人以外の人に財産を遺したいケース
法定相続人以外の人に財産を遺したいケースでは包括遺贈を選択した方が良いでしょう。
その理由は民法第990条で包括遺贈された受遺者は法定相続人と同一の権利義務を有すると定められているからです。
相続手続きでは不動産の登記や役場での手続きなどさまざまなものがあります。
法定相続人ではない受遺者も包括遺贈によって相続人の権利義務を有することで手続きをスムーズに進めることが可能です。
②財産の一部を法人に寄付してほしいケース
財産の一部を法人に寄付してほしいケースでも包括遺贈は有効です。
法人に寄付したい場合でも、法人は金銭以外は受け取ってくれない場合も多いものです。
寄付をしたい法人が金銭以外の寄付を受け取ってくれない場合は個人に負担付き包括遺贈をし、受け取った財産の中から法人に寄付してもらうことができます。
特定遺贈と包括遺贈はケースによって使い分けが必要
相続には全ての人にとって統一された正解があるわけではありません。
自分の財産をどのように遺したいか考えて、形にするのが遺言です。
遺言という形にするうえで、特定遺贈と包括遺贈のどちらが都合がよいかよく検討するようにしましょう。