包括遺贈とは?例文も掲載!

直政です。

前回は特定遺贈について解説しました。今回は包括遺贈について解説します。

包括遺贈とは

包括遺贈とは財産を特定せずに、プラスの財産もマイナスの財産もまとめて遺贈する方法です。

包括遺贈で遺贈を受けた人は相続人としての権利と義務を有することになります。そのため、友人など法定相続人ではない人に遺贈した場合でも、マイナスの資産も承継することになるのです。
包括遺贈の場合でも、必ずしも一人に決める必要はありません。2人に2分の1ずつ財産を承継することも可能です。複数の相続人に2分の1ずつ財産を承継する場合、誰が何を承継するかを話し合って決める必要があります。

負担付きで包括遺贈することも可能

包括遺贈は負担付きで行うことも可能です。
例えば包括遺贈で一人の人に財産を遺し、その代わりに、金融資産のうち1,000万円を誰かに渡す負担を付すような場合です。負担を割合で付すこともできます。
例えば相続した金融資産のうち3割を誰かに渡すように負担を付すようなケースです。

 

包括遺贈の例文

包括遺贈をする場合、どのように文書を書けばよいのでしょうか。包括遺贈の例文を見ていきましょう。

①包括遺贈の例文

遺言者は、その有する一切の財産を、遺言者の長男○○ ○○ (昭和○年○月○日生)に相続させる。

包括遺贈の場合、全ての財産を承継させる内容になりますので、必ずしも財産を列挙する必要はありません。

②負担付き包括遺贈の例文

遺言者は、その有する一切の財産を、遺言者の長男○○ ○○ (昭和○年○月○日生)に相続させる。
ただし、前記○○ ○○は本遺言の財産取得に伴う負担として、以下の負担事項を履行しなけれならない。

<負担事項>
遺言者の長女○○ ○○ (昭和○年○月○日生)に金1,000万円は相続発生から10ヶ月以内に支払うこと

負担付き包括遺贈の場合、包括遺贈をする旨と、負担事項を明確にしておくことが重要です。負担事項については履行の期限もしっかりと記載するようにしましょう。

 

包括遺贈によって相続人として地位を取得する

包括遺贈は特定遺贈のように特定の財産を相続する権利を得るのみではなく、被相続人が持つプラスの財産とマイナスの財産を承継することになります。
包括遺贈によって財産を取得する場合は、法定相続人でなくても、相続人としての地位を有することになります。
包括遺贈の相手方である受遺者も、遺贈を放棄することも可能です。

次の記事では特定遺贈と包括遺贈をどのように使い分ければいいのか解説していきます。