成年後見制度のメリットとデメリット

直政です。

前回は成年後見制度の概要について解説しました。

今回は成年後見制度のメリットとデメリットを解説したいと思います。

成年後見制度のメリット

成年後見制度のメリットは、高齢で財産管理が難しい方などの財産を守ることができるという点です。後見人は重大な契約に対して取り消し権や代理権を有するため、言葉巧みに不必要な高額契約をしてしまった場合でも、後見人が取り消しをすることができます。

認知症などで財産管理が難しい親のすぐそばに常にいられるわけではありませんので、成年後見制度を利用することで、安全に財産管理をすることが可能です。

成年後見制度のデメリット

親の財産管理が心配で成年後見制度の利用を検討している方も多いでしょう。しかし、成年後見制度にはデメリットも多くあります。成年後見制度のデメリットについて解説します。

後見人の負担が大きい

成年後見制度を利用することで後見人の負担は大きくなります。後見人は家庭裁判所が選任することになりますが、子供が後見人となる場合があります。

後見人は選任後一カ月以内に、財産目録と収支予定表を作成し、家庭裁判所に提出する必要があります。また、年に1回、財産や収支の状況を報告する必要があります。

成年後見制度を利用することで、書類の作成など、負担が増えてしまうことは、大きなデメリットといえるでしょう。

後見人を専門家に任せた場合、費用がかかる

後見人の負担を減らすために弁護士等の専門家に後見人を依頼することも可能です。しかし、後見人を専門家に依頼することで、費用が掛かります。高齢で介護費用が掛かる場合も多いため、なるべく支出は増やしたくないと考えている方もおおいでしょう。

後見人は選任後、原則変更することができませんので、被後見人が亡くなるまで払い続ける必要があります。後見人を専門家に任せる場合、費用がかかるということも認識しておく必要があります。

制約が多くなる

成年後見制度を利用することで、財産の処分や収支を家庭裁判所に年1回提出することになります。後見人は被後見人のためにしか財産を処分することができませんので、制約が多くなります。

例えば、相続対策で子や孫などに生前贈与をしていた場合などは、続けることが難しくなります。生前贈与は子や孫などにはメリットが大きいものの、贈与する側に金銭的メリットはありません。後見人は被後見人の保護を第一に検討しますので、生前贈与は不必要な行為とみなされます。

また、リフォームなど、生活を改善するために支出する場合も後見人の許可がいることや、株式や投資信託などで運用をすることも難しくなります。

成年後見制度を利用することで、様々な制約がかかり、生活がしづらくなる点も理解しておく必要があります。