失敗事例から学ぶ遺産分割協議書作成時の注意点

直政です。

今回は前回に引き続き遺産分割協議書について解説します。実際によく起こる失敗事例から遺産分割協議書作成時の注意点について解説します。

相続人の確定が不十分

相続人の確定は遺産分割協議書を作成する際にはじめに行っておくべき作業です。

相続人は民法で定められていますので、相続が発生したら誰が相続人なのか必ず確認しておきましょう。特に勘違いされているのは子どもがいない夫婦で兄弟姉妹や甥・姪がいるケースです。

配偶者が当然全財産を相続すると考えている人も少なくありませんが、子どもがいない場合、兄弟姉妹や甥・姪も相続人となります。遺産分割協議書を作成する前に財産を相続する意思があるかどうか確認しておく必要があるでしょう。

また、前の配偶者との間に子どもがいるケースも注意が必要です。前の配偶者との間の子どもにも財産を相続する権利がありますので、財産配分について話しあう必要があります。

 

財産の確定が不十分

財産の確定が不十分であると、せっかく遺産分割協議書を再作成する必要が生じる可能性があります。

よくあるケースは遺産分割協議書の作成後にあらたな財産が出てきたケースです。新たな財産によって財産の配分に狂いが生じる場合、再度話し合って財産の配分方法を決める必要があります。

遺産分割協議書を作成してから新たな財産が出てくることを防ぐために金融機関の取引は細かくチェックしておく必要があります。金融機関から書面が郵送されてくる場合、取引をしている可能性があるため、しばらくは郵便物をチェックしておきましょう。

ただし、ネット銀行やネット証券は郵便物は送付しない金融機関がほとんどです。メールなどで書面が送付されていることがありますので、見落とさないようにしましょう。

 

相続税の申告期限に間に合わない

遺産分割協議書は相続税の申告にも必要です。相続税の申告は被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に行う必要があります。申告期限に間に合わないと特例を適用することができないなど、様々なデメリットが生じます。

相続税の申告期限に間に合わせるためには、やはり早めから準備することが大切です。相続人と財産の確定を早めにしておかないと、話し合いが難航した場合、すぐに期限がきてしまいます。

場合によってはあとで財産が発覚することもありますので、余裕をもって遺産分割協議書を作成するスケジュールを組んで、相続人と合意しておくほうがよいでしょう。