相続税評価額① 土地の相続税評価額計算方法

直政です。

相続税対策は様々なメディアで紹介されるようになりましたが、スタートは必ず相続財産の把握になります。
財産の種類に応じた評価額がわからなければ、有効な相続税対策はできず、遺産分割にも偏りが出てしまいます。

現金や預貯金は額面どおりの評価額であり、上場株式であれば相続開始日の株価も容易に把握できます。
では不動産や非上場株式などはどのように評価したらよいのでしょうか?

誤った評価額で相続税申告すると、税金の納め過ぎになるケースもありますが、過少申告の場合はペナルティも課されます。
いずれも納税者のデメリットになるため、相続税評価額の計算方法はぜひ知っておきたいところです。

今回と次回の記事で、評価の難しい財産に焦点を当て、それぞれの評価方法を解説します。
代表的な財産5つの相続税評価額を解説しますので、相続税対策を検討しておられる方や、遺産相続されたばかりの方はぜひ参考にしてください。

相続税評価額とは

相続税や贈与税の税額を計算する際、基準値となるのが相続税評価額です。

相続が発生した時点での換金価値が相続税評価額になり、土地の場合は路線価方式や倍率方式、建物であれば固定資産税評価額が基準になります。

現金1,000万円の相続税評価額はそのまま額面どおりになりますが、土地や建物、株式などは国税庁通達により評価方法が示されています。
また、相続財産には権利も含まれており、借地権や借家権などの評価方法も国税庁によって定められています。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

土地の相続税評価額計算方法

土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」があり、地域によって使い分けます。
計算方法は次に解説しますので、相続財産に土地がある場合は面積などを置き換えて計算してみてください。

路線価方式による相続税評価額

路線価とは道路に設定された値段のことであり、その道路に面した土地は以下のように相続税評価額を計算します。

路線価方式の相続税評価額計算:路線価×地積(面積)×補正率

路線価は国税庁ホームページから確認できますが、たとえば道路に「200E」と表示されていた場合、路線価は20万円になります。
路線価は1,000円単位で表示されているので、数字を1,000倍すれば正式な路線価になります。

ただし、土地の相続税評価額には形状や接道状況なども考慮する必要があるため、奥行価格補正率や側方路線影響加算率などを使って評価額を補正します。
ちなみに、路線価に続くアルファベットは「借地権割合」を表しており、賃貸事業用の土地は借地権割合分だけ評価額を下げることができます。

路線価図(国税庁):https://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
奥行価格補正率表(国税庁):https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

倍率方式による相続税評価額

路線価が設定されているのは基本的に都会であり、田舎の場合は路線価図が作成されていないこともあります。
路線価がない場合は「倍率方式」によって相続税評価額を計算しますが、基準になるのは土地の固定資産税評価額であり、以下のように計算します。

倍率方式による相続税評価額計算:固定資産税評価額×倍率

地域毎の倍率は国税庁ホームページに掲載されており、都道府県名をクリックすると「評価倍率表」へのリンクページが表示されます。
「一般の土地等用」などを選択し、次に地域を選択すると倍率表が表示されますが、右側の「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」が該当地域の倍率になります。

つまり、固定資産税評価額が1,000万円、倍率(宅地)が1.1の場合、その土地の相続税評価額は以下のようになります。

相続税評価額:1,000万円×1.1=1,100万円

次回の記事では、建物・株式・生命保険・退職手当金の相続税評価額計算方法について見ていきます。