遺言書の効力は絶対?内容に納得がいかない場合の対応とは

「遺言書が残されていたら、その内容に従うしかないの?」

「相続人間で話し合って、遺言書の内容と異なる遺産分割はできない?」

 

こんにちは、直政です。

遺言書が残っていた場合でも、その内容と異なる遺産分割をできることがあります。

遺言書とは、亡くなった方の意思表示なので尊重されるべきですが、相続人全員が納得しているのに遺言書に従うしかないのでは、非常に不便です。

この記事では、遺言書の効力や遺言書の内容と異なる遺産分割ができるケースなどについて解説いたします。

遺産分割の際に、参考にしていただければと思います。

 

1.遺言書の効力

遺言書は、亡くなった方の意思を残すものです。

代表的なものは、財産を誰に残すのかという内容ですが、それ以外にも効力を発揮する事項がいくつかあります。

【遺言書の効力①】財産に関する事項

最も代表的なもので、財産を誰に残すのかという内容です。

例えば、「長男に全てを相続させる。」や「全ての財産を寄付する。」という内容です。

基本的には、亡くなった方が財産をどうするのかは遺言書で自由に決められます。

相続財産の相続分を指定する、財産を遺贈する、そういったことが可能です。

また、財産をどのように分けるのかを第三者に依頼することも可能とですし、5年を超えない範囲で財産を分けることを禁止するようにもできます。

【遺言書の効力②】身分に関する事項

身分に関する事項は、認知と未成年後見人の指定です。

認知とは、気いたいことがある人も多いですが、結婚していない男女の間に生まれた子を、自分の子として認めることです。

認知された子は、当然相続人となります。

未成年後見人とは、亡くなったあとの子の代理人のようなものです。

例えば、すでに妻が亡くなっていて、自分も亡くなってしまった場合、子は一人で遺産分割協議や財産の名義変更などを行うことができません。

そういったことを行ってくれるのが、未成年後見人です。

遺言書では、こういった事項についても効力を発揮することが可能です。

【遺言書の効力③】相続人に関する事項

相続人の廃除を、遺言書で行うことができます。

廃除とは、簡単に言えば指定した相続人に相続させないようにすることです。

例えば、虐待などを受けていた場合ですね。

【遺言書の効力④】遺言執行者に関する事項

遺言執行者の指定を行うことができます。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書で、認知や廃除を行う場合は必ず指定しなければなりませんが、それ以外の場合は不要です。

ただ、指定しちゃいけないわけではないので、遺言書内容を実現したい場合は遺言執行者をしてしておくことをおすすめします。

2.遺言書の効力が無効となるケース

遺言書を作成したとしても、無効となってしまうケースがあります。

以下の3つです。

【遺言書の効力が無効となるケース①】ルールに反している

例えば、15歳未満の者が作成した遺言書は無効です。

また、自筆証書遺言において、日付がない、押印がない、署名がないなどは形式を満たしておらず、無効となります。

【遺言書の効力が無効となるケース②】遺言者が認知症

遺言書を作成した際に、認知症などになっていた場合です。

正確に言うと、認知症だからといって100%遺言書が無効になるわけではありません。

遺言書を作成できないほどの状態かどうかの判断が難しいからです。

最終的には裁判所の判断となります。

【遺言書の効力が無効となるケース③】他人の意思が介在している

例えば、遺言書の改ざんや代筆です。

当然認められませんよね。

3.遺言書と異なる遺産分割ができるケース

遺言書は、亡くなった方の最後の意思表示になるので、最大限尊重されるべきです。

しかし、相続人全員で話し合いをして、こういうふうにするのが一番いいよね、となるのであれば、ある意味それが一番の円満解決だとも言えます。

では、そもそも遺言書に反する内容で遺産分割をしてもいいのでしょうか。

遺言書で禁止されている

遺言書には、5年を超えない範囲で遺産分割を禁止することを残すことができます。

つまり、最大で5年間は相続人だけで話をして遺産分割をすることはできません。

逆に言えば、5年が経てばできるようになりますが、5年間何もしないでおくということは現実的に考えられないので、実質遺言書で禁止されていたら遺産分割は諦めたほうがいいでしょう。

遺言書で禁止されていない

遺言書で禁止されていなければ、第一関門は突破です。

次は、遺言執行者がついているかどうかです。

もし遺言執行者がついていたら、遺言執行者の同意がないと相続人だけでの遺産分割はできません。

最後に、遺贈です。

相続以外に財産を受け取る人がいた場合は、受け取った人の同意も必要になります。

まとめ

実際のケースでは、遺言執行者がついてないケースも多々ありますし、遺贈がないケースも多いです。

したがって、遺言書の内容通りではなく、相続人間での遺産分割ができる可能性は高いでしょう。

ただ、遺言書は亡くなった方の最後の意思表示です。

それを尊重するということも大事にした上で、相続人間での遺産分割を行うのが良いのではないでしょうか。