「祭祀財産ってどんなものを指すんですか?」
「祭祀財産と相続財産は違うものなんですか?」
直政です。
祭祀財産というものをご存知でしょうか。
相続が発生した際、相続財産には目がいくと思いますが、祭祀財産を意識する人はあまりいないと思います。
しかし、実は意識していないだけで目の前にあるのが祭祀財産です。
祭祀財産とは、お墓や仏壇のことなんです。
では、祭祀財産は誰が相続するのでしょうか。
本日は、祭祀財産について解説します。
祭祀財産とは
祭祀財産とは、お墓や仏壇、家系図などのことです。
簡単に言えば、先祖を祀るために必要なもののことですね。
民法にもちゃんと規定されていて、系譜、祭具、墳墓の3つにわかれています。
注意が必要なのは、仏間など部屋全体を祭具として取り扱うことは難しいこと、広大な敷地をお墓として取り扱うことは難しいこと、この2点です。
祭祀財産も、相続財産と同様に引き継がれることに変わりはありませんが、相続財産とは取り扱いが異なります。
まず、相続税がかかりません。
また、相続財産のように相続人間で財産を分けるのではなく、一人に引き継がれます。
祭祀財産を相続人間で分けてしまうと、法要のときなどに面倒なんです。
では、誰が祭祀財産を引き継ぐことになるのでしょうか。
祭祀財産を相続する人
祭祀財産を相続する人を、祭祀承継者といいます。
祭祀承継者の決め方は、3段階にわかれています。
まずは、指名があった場合です。
例えば、遺言書で祭祀承継者を指名したり、生前に口頭で指名しておくといった方法ですね。
祭祀財産は特殊な財産のため、しっかりと役割を果たすことができる人が引き継ぐべきです。
亡くなった方が指名するのであれば、最も間違いのない方法といえます。
指名が特にない場合は、一族や地域の慣習に従います。
一般的には、長男が引き継ぐというケースが多いですね。
ただ、家族や地域によって慣習は全く異なりますので、一概には言えない部分があります。
慣習などが特になければ、遺産分割協議の際に相続人間で話し合って決めることになります。
その場合、遺産分割協議書に祭祀承継者のことも記載するのが一般的です。
指名も慣習もない、遺産分割協議でも決まらないとなると、最終的には家庭裁判所に決めてもらうことになります。
家庭裁判所に調停の申立をして、審判によって判断してもらうというかたちです。
祭祀財産を活用した節税
祭祀財産には、相続税がかかりません。
祭祀財産がどれだけ高額だったとしてもです。
つまり、相続税対策の一つにもなります。
生前に、お墓や仏壇を購入しておくことで、現金を消費し相続税を節税することが可能となっています。
祭祀財産の注意点
祭祀財産を承継した祭祀承継者は、祭祀財産を管理することになります。
望んで祭祀承継者になる方もいますが、望んでいないのに祭祀承継になる人もいますよね。
その代わりに、相続財産を多くもらえるのではと思う方もいますが、残念ながらそれはありません。
あくまでも、相続財産とは別物になるのです。
そのため、もし相続放棄をしていても祭祀財産を引き継ぐことは可能となっています。
相続財産と祭祀財産は、完全に別物なのです。
まとめ
祭祀財産は、相続財産のように金銭的な価値がある財産とは違います。
先祖を祀るためのお墓や仏壇といったものを引き継ぎ、責任をもって管理していくことが求められるものです。
祭祀承継者となった人は、祭祀財産をどう管理していくは基本的に自由です。
したがって、なりたくない人を祭祀承継者にすると、祭祀財産を処分されてしまう可能性もあります。
死後、ちゃんと責任をもって管理してくれると信じられる人に、祭祀財産を引き継いでもらうようにしましょう。