「遺言書を作成したけど、どこに保管するのがいいの?」
「分かりやすい場所に隠すと、改ざんされる可能性とかあるんですか?」
直政です。
みなさんは、遺言書を作成した後どこに保管していますか?
仏壇に隠す、タンスにしまう、貴重品などと一緒に置いておく。
選択肢はたくさんあるでしょう。
自分が死んだ後に見つかるような場所じゃないと意味がないですが、すぐに見つかるような場所には置いておけない。
そう考えると、意外に遺言書の置き場所って難しいですよね。
実は、今年の7月10日から法務局で遺言書を保管してもらえる制度がスタートしました。
自筆証書遺言書保管制度といいます。
本日は、自筆証書遺言書保管制度についてご説明します。
自筆証書遺言書保管制度とは
遺言書の置き場所は、実は結構難しいです。
冒頭でもお伝えしたように、仏壇に隠したりする人が多いのですが、結構誰でもわかる場所だったりしますよね。
遺言書というのは、自分が死んだ後に家族に読んでもらうためのものです。
見つからない場所に隠してしまい、誰にも見つけてもらえないのでは意味がありません。
かといって、すぐに見つかるような場所に置いてしまっては、悪意ある相続人が廃棄してしまったり、改ざんされてしまったりする可能性があります。
そういったことが起きないような場所となると、意外と難しいですよね?
法務局では、そのような事態を回避するために、遺言書を保管してくれる制度を創設しました。
それが、自筆証書遺言書保管制度です。
自筆証書遺言書保管制度を利用するメリット
自筆証書遺言書保管制度を利用するメリットは、3つあります。
1つ目は、先ほどお伝えした悪意ある相続人による、遺言書の廃棄や改ざんを防ぐことができることです。
遺言書を法務局に預けるわけですから、当然相続人の誰も遺言書に触れる機会はありません。
置き場所に困ることなく、安心して遺言書を保管することができます。
2つ目は、相続人への通知です。
どういうことかというと、相続人の一人が法務局に行って、遺言書の証明書の交付請求をしたり、閲覧請求をしたりすると、他の相続人全員に通知が発せられます。
これによって、遺言書の存在を知らなかった相続人も、遺言書の存在を知ることができるのです。
3つ目は、裁判所での検認が不要ということです。
通常、自筆証書遺言書を作成して保管していた場合、死後相続人の誰かが遺言書を発見しても、勝手に開けることは許されません。
家庭裁判所で検認の手続を経て、開封することになります。
しかし、法務局に遺言書を預けると、この家庭裁判所での検認の手続が不要となるのです。
面倒な手続を行う必要がないので、大きなメリットとなります。
自筆証書遺言書保管制度の利用方法
遺言書を作成したら、住所地か本籍地、不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。
申請予約を取ったら、本人確認書類や住民票といった必要書類を提出します。
問題がなければ保管証を渡されるので、大切に保管してください。
先ほどお伝えしたように、廃棄や改ざんといった行為の心配はありませんので、家族には法務局に遺言書を預けている旨伝えてしまっても問題ありません。
同じように、公正証書遺言書でも廃棄や改ざんといった行為の心配をせずに、遺言書を保管することが可能です。
しかし、公正証書遺言書の場合は費用と手間がかかります。
相続財産が多い、相続関係が複雑などの事情がある場合は、公正証書遺言書を作成してもいいと思いますが、そういった事情がないのであれば自筆証書遺言書保管制度を利用したほうがいいでしょう。
まとめ
自筆証書遺言書保管制度は、1通3900円の手数料で利用できる、非常に有用な制度です。
自筆証書遺言を作成した場合は、必ず利用するようにしましょう。