相続の限定承認ってどんな手続?限定承認の内容について詳しく解説

「財産が残るなら相続したいけど、相続財産の詳細がわからない。」

「自宅だけは、何とか残して相続がしたい。」

 

直政です。

相続が発生した場合、常に現金や不動産などのプラスの財産だけが残るのかはわかりません。

もしかしたら、知らなかった多額の借金などがある可能性もあります。

生前に、財産について故人から聞かされていれば安心でしょうけど、そういったケースは多くないです。

借金があるかもしれないから、相続放棄をしたほうがいいのか。

自宅は手放したくないから、借金も含めて相続したほうがいいのか。。

色々と悩まれると思います。

そんな時に活用できるのが、限定承認です。

本日は、限定承認についてご説明します。

限定承認とは

限定承認とは、相続放棄などの相続手続の一つです。

簡単に言うと、財産の範囲を限度として債務を負担するということになります。

例えば、500万円の絵画をどうしても相続したいけど、債務が1000万円あるという場合、500万円を債権者に支払うことで絵画を残すことができるのです。

財産の価値分の債務を支払えばいいということですね。

ケースによっては、非常に便利な方法となります。

しかし、限定承認を実際にするケースは稀です。

なぜなら、手続が複雑なのです。

限定承認の最大のネックとなります。

では、限定承認の手続はどのようなものなのでしょうか。

限定承認の手続の流れ

限定承認の大前提として、相続人全員の同意が必要です。

一部の相続人だけでは、限定承認をすることはできません。

相続放棄をした相続人は、相続人ではなくなっているので数に入れなくても大丈夫です。

限定承認は、相続放棄と同じように3か月という期間が決まっています。

また、相続放棄と同じように期間伸長の申立をすることも可能です。

申述書と必要書類を揃えて、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をします。

必要書類は、以下の3つです。

 

  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本

 

費用は、相続人1人につき800円の収入印紙が必要になります。

切手などは、家庭裁判所によって異なります。

問題がなければ、申述が受理されれば前半戦の終了です。

 

後半戦は、清算手続きです。

債務を清算する必要があるので、相続財産管理人がついて手続を行うことになります。

まずは、債権者に限定承認をしたことを知らせる必要があります。

分かっている債権者には催告をし、あとは広告をすることで知らせます。

官報に掲載することになるので、そのための費用が5万円ほど必要です。

広告が完了したら、財産の換価処分となります。

ここで、もし不動産を残したいなどの希望があれば、鑑定人選任の申立をして、不動産の価値を鑑定してもらいます。

そして、その金額を支払うことで不動産を残すことができるということです。

換価された財産は、債権者に分配されます。

これで、完了です。

 

いかがでしたでしょうか。

結構大変な手続であることがわかるかと思います。

この大変さが原因で、限定承認を選択する人が少ないということもあるのです。

限定承認をすべき場合

限定承認をすべきかどうかは、非常に判断が難しいです。

財産も債務も全くわからない、という状況合であれば迷わず限定承認でいいと思います。

しかし、財産と負債のバランスや中身によっては、相続したほうがいい場合もあれば放棄したほうがいい場合もあります。

つまり、財産と債務が明らかであっても、なかなか自分で判断するのは難しいということです。

まずは、専門家に相談をして何がベストな選択肢なのかを見極めるようにしましょう。

まとめ

限定承認は、特定の場合にはメリットがありますが、一般的な場合には手続が複雑なことからデメリットになるケースが多いです。

非常に専門的な知識が必要になるので、一人で悩まずに専門家に相談しましょう。

無料相談をやっている弁護士事務所は多いので、探してみてください。