直政です。
前回から相続に関する手続きの流れや期限についてご紹介しています。
この記事では、相続手続きで3か月以内に行う手続きと、4か月以内に行う手続きについてみていきたいと思います。
【相続手続き】時系列ごとの手順の流れ・期限②
相続手続きで3か月以内に行う手続き
相続手続きで3か月以内に行う相続手続きは以下の5つです。
遺言書の確認と裁判所の検認手続き
遺言書があれば相続は遺言書に沿って行うのが基本です。早めに被相続人の遺言書が残っていないか探す必要があります。
遺言書が見つかった場合は、遺言書の種類によっては裁判所の検認手続きが必要です。
たとえば法務局の預かり制度を利用していない自筆証書遺言が見つかった場合は、裁判所の検認手続きが必要になります。
公正証書遺言は公証人という法律のプロが作成に関与しているため、裁判所の検認手続きが不要です。
遺言の有無を確認した後、検認が必要な遺言書の場合は裁判所で検認手続きを行うという流れになります。
被相続人の遺産の調査と確認を行う
被相続人の遺産の調査と確認は各遺産の相続手続きや相続税の申告・納付といった手続きのために必要です。
相続手続きをしようと思っても、遺産の内容や所在がわからなければ手続きのしようがありません。
遺産分割などの相続手続きを進めるためにも、遺産の種類や額、所在について確認しなければなりません。
相続税に関しても、遺産の額や種類などがわからなければ相続税の計算ができませんので、相続税の申告手続きが難しくなります。
被相続人の遺産の調査や確認自体に期限はありません。ですが、相続税や限定承認といった期限のある相続手続きのためにも遺産調査や確認が必要になるため、期限のある相続手続きに間に合うように早い段階で行う必要があります。
相続人の調査や確認を行う
相続人がわからないと相続手続きできませんので、期限のある相続手続きに間に合うように相続人の調査と確認を行う必要があります。
相続人の調査は戸籍などを取得して行います。
遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
遺産分割協議は相続人全員で行います。
遺産分割協議ができないと、相続税や各遺産の相続手続きにも影響が出てしまいます。なぜなら、手続きを進めようにも、どの遺産がどの相続人に分割されるか決まっていないからです。
遺産分割協議で遺産の分割を決めたら遺産分割協議書にまとめます。遺産分割協議書は相続手続きの際に使います。
相続放棄や限定承認など裁判所の手続きを行う
相続放棄とは遺産のプラスもマイナスも一切相続しないという手続きで、借金の多い相続で使われている手続きとして知られています。
限定承認とは、裁判所で遺産のプラスとマイナスを計算し、遺産のプラスの限度でマイナスを相続する手続きです。
相続放棄と限定承認には相続開始を知ってから3か月という期限があります。
また、限定承認は相続人全員で行うというルールがあるため、限定承認の手続きをする前提として相続人の調査も終わらせておけなければいけません。
相続手続きで4か月以内に行う手続き
相続手続きで4か月以内に行う相続手続きは、準確定申告やサービスの解約などです。
被相続人の所得の準確定申告をする
被相続人の亡くなった年の所得の申告を準確定申告といいます。
通常の確定申告は1月1日から12月31日までの所得を申告しますが、被相続人は年度の半ばで亡くなっているため、年度の末日をひとつの区切りとして確定申告できません。そのため、被相続人が亡くなった日までの所得について準確定申告をする必要があります。
準確定申告の期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。
公的年金などの収入400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下などの条件に当てはまる場合は準確定申告の必要はありません。
準確定申告の窓口は税務署です。わからないことがわれば税務署や税理士などに確認を取っておくと安心です。
各種サービスの解約を行う
被相続人が加入していたスマートフォンやインターネットプロバイダー、クレジットカード、新聞、電気ガスなどのサービスについては、早めに解約手続きを進めることが重要です。
サービスを解約しないと、サービスを利用していないのに料金だけかかってしまいます。被相続人が加入している使わないサービスは早めに解約を進めましょう。
なお、被相続人の名前で加入しているサービスの中でも引き続き使うものは解約する必要はありません。
たとえば被相続人と家族が同居しており、被相続人の名前で加入している電気や水道などのサービスがあれば、今後も使うわけですから特に解約の必要はないのです。
ただし、名義が被相続人になっている場合は名義変更が必要になるため、名義変更の手続きをしておきましょう。
まとめ
今回の記事では、相続手続きで3か月以内と4か月以内に行う手続きをご紹介いたしました。
みなさまの参考になれば幸いです。