遺産相続時にかかる税金

直政です。

今回は遺産相続をしたときに関係してくる税金について解説していきます。

相続税

遺産を相続した方は、相続税を払わなくてはいけないと、焦ってしまうかもしれませんが、払う必要がない方も多いです。

なぜなら、相続税には基礎控除額という非課税枠が設定されているからです。

相続税の基礎控除額を超えて遺産を承継する場合には相続税が課せられます。

基礎控除額は次のような計算式に当てはめて算出することができます。

基礎控除額=3,000万円+法定相続人の数×600万円

法定相続人の数が多ければ多いほど、控除額が増える仕組みになっています。

そのため、孫を養子にすることなどが節税対策となるのです。

民法上は養子にできる数に制限はありませんが、相続税法上は制限されていますので注意して下さい。

  • 実の子供がいない場合、養子は2人まで
  • 実の子供がいる場合は、養子1人まで

相続する預貯金財産がそれほど多くなく、不動産の評価が高い場合、自分の預貯金を使って相続税を支払わなければいけないケースもあるので気を付けましょう。

相続税の特例と税額控除

相続税には基礎控除とは別に、特例や税額控除があります。

節税効果の高いものになりますので、もし当てはまる場合は忘れずに適用していきましょう。

小規模宅地等の特例 一定の要件を満たした居住用・事業用の小規模宅地を相続する場合に適用される 相続税評価額最大80%減額
配偶者軽減 配偶者が相続や遺贈で取得した財産に適用される 配偶者の法定相続分又は1億6,000万円のいずれか大きい方の額を控除
未成年者控除 満20歳未満の相続人に適用される 10万円×満20歳になるまでの年数で算出した額を控除
障害者控除 障害のある方に適用される 10万円(重度の障害者の場合は20万円)×満85歳になるまでの年数で算出した額を控除
相次相続控除 相続が発生してから10年以内に次の相続が発生した場合に適用される 最初の相続から次の相続が始まるまでの期間が短ければ短いほど控除額は大きくなる

相続税がかからない財産

財産の中には相続税がかからない特別な財産があります。

いくつか例をここで紹介します。

  • 墓地や墓石、仏壇、仏具など(ただし骨董品のような価値があるものを除く)
  • 公共事業のために使う財産
  • 国または地方公共団体に寄付した財産
  • 個人経営の幼稚園、盲学校、ろう学校、養護学校の財産

また、後で紹介する生命保険金や死亡退職金にかかる相続税の一部もこの非課税部分に当てはまります。

不動産の登記にかかる登録免許税

遺産を相続したときに、それに付随して関係のある税金が登録免許税です。

登録免許税は、不動産の所有者の名義変更をする際に必要な税金で、国に納める国税です。

計算方法は、不動産の価格に税率0.4%をかけることで算出できます。

各市町村役場(東京23区の場合は各都税事務所)で取得できる固定資産評価証明書で不動産の価格を確認することができます。

売却したときにかかる譲渡所得税

相続した不動産を売却した際に課されるのが譲渡所得税です。

譲渡所得税は、すべての場合に課されるものではなく、被相続人が不動産を購入した額より相続人が売却した額の方が大きいときの利益に対して課せられます。

従って、購入したときの金額を下回る金額でしか売れなかった場合、譲渡所得税は発生しないことになります。

譲渡所得税の計算は以下のよう算出します。

  • 譲渡所得=不動産の売却代金-(不動産を取得するためにかかった費用+売却のために直接かかった費用)
  • 課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除
  • 譲渡所得税額=課税譲渡所得×税率

「売却のために直接かかった費用」というのは、仲介手数料や印紙代などでかかった金額です。

譲渡所得税の税率は被相続人が不動産を取得した日からどれくらいの期間が経っているかで違ってきます。

売却した年の1月1日時点での所有期間 税率
長期譲渡 5年を超える場合 15%
短期譲渡 5年以下の場合 30%

長期譲渡は短期譲渡に比べて税率が低く、長く所有しているほど税制的に優遇されています。

また、公共事業や農地保有のために土地を売った等の条件により、特別控除も備えられています。

譲渡所得税は不動産を売却した翌年に確定申告をして納税する必要があります。