相続相談において、司法書士には何を相談すべき?

こんにちは。直政です。

司法書士を目指して日々勉強をしておりますが、みなさんは司法書士がどのような業務を行うのかご存じですか?

相続相談において、司法書士はどの範囲まで対応できるのでしょうか?

弁護士や税理士、行政書士など士業にもいくつかの種類があります。

それぞれ、できる業務範囲が決まっているので、相続相談において何を実現したいのかによって相談先も変わってくるのです。

どの専門家に頼んだとしても、通常であれば問題なく対応してくれるはずです。

事件処理できるのであれば依頼を受けるし、できなければ別の専門家を紹介してくれるからです。

しかし、依頼したいことがある程度決まっているのであれば、最初からその内容に対応できる専門家に頼んだほうがいいですよね。

今回は、司法書士にスポットを当てて、対応できる業務についてご説明をしていきたいと思います。

1.司法書士は登記の専門家


司法書士の業務は、登記業務がメインとなります。

認定司法書士であれば、140万円以下の範囲で訴訟の代理人となることもできます。

また、供託なども業務に含まれていますが、圧倒的に多いのはやはり登記業務です。

それでは、司法書士の業務がどのように相続に絡んでくるのでしょうか?

相続登記になりますね。

故人が不動産を所有していた場合、当然ですが所有者はその故人名義となっています。

そして、相続が発生すると相続人が新たな所有者となるのです。

その際に、故人の名義から相続人の名義に変更することを、相続登記といいます。

相続で不動産がある場合は、必ず必要になる手続きです。

また、相続放棄についても業務として対応可能です。

家庭裁判所への申立であれば、司法書士の業務範囲となります。

相続放棄は、非常に多い手続きとなっているので、専門にやっている司法書士の先生も多いです。

以上のことから、司法書士は相続登記と相続放棄を専門としているということになります。

では、司法書士以外の士業はどのような相続業務を行っているのでしょうか?

2.他士業の業務

以下、それぞれの士業についてみていきます。

・弁護士

「争続」となった場合は弁護士に依頼すべきです。

相続人間で揉めてしまい、その中の相続人の一人から依頼を受ける。

依頼を受けたら、他の相続人やその代理人と交渉をする必要が出てきます。

その場合は、弁護士じゃないと代理人となることができません。

弁護士法72条で定められているからです。

その例外が、上記の認定司法書士の制度です。

もし、揉めている財産が140万円以下であれば、司法書士でも対応が可能です。

最も、140万円以下で揉めるケースは少ないかと思いますし、仮に揉めても代理人をつけるところまでは発展しないでしょう。

・税理士

相続税の相談をしたいのであれば、税理士になります。

相続財産が一定の金額を超えると、相続税が課せられます。

税金に関する相談は、司法書士は対応できません。税理士の業務となります。

相続税については、非常に奥が深いのです。

特に、節税対策についてはいろいろな手段があり、専門家である税理士に相談するのが間違いありません。

・行政書士

書面だけについて相談したいのであれば、行政書士になります。

遺言書作成や遺産分割協議書、相続関係図など、相続関連の書面はたくさんあります。

そういった書面作成であれば、行政書士の仕事です。

行政書士の業務は、かなり多岐にわたっております。

伝統的な業務である許認可関係の書類から、契約書や内容証明といった書面まで何千種類もあります。

ただ、代理人にはなれませんので、基本的に揉めている案件には対応できません。

3.重複する士業の業務範囲

これまで、司法書士や他の士業の業務をみてきましたが、実はその業務範囲は所々でかぶっているのです。

例えば、司法書士は遺産分割協議書の作成もできますし、相続関係図の作成もできます。

弁護士は、相続税の申告も行うことができます。

士業同士で業務がかぶっているからこそ、業務範囲のことで士業間で揉めたりするのです。

10年ほど前に、「特上カバチ」というドラマがありました。

行政書士の役である、嵐の桜井くんと堀北真希さんが示談交渉などを行って、民を助けるという内容です。

このドラマに、大阪弁護士会からクレームが入ったのです。

示談交渉は弁護士の業務、このドラマの内容は弁護士法72条の非弁行為に該当するだろうと。

制作側は、無償でする分には弁護士法に抵触しないと考えていたのだと思います。

結局は解釈の問題で、非常にグレーな問題なのです。

ただ、私個人としてはあくまでもドラマ、フィクションの話です。

明らかに法律に違反しているならまだしも、グレーなところをそんなにつつかなくてもいいのでは?と思ってしまいます。

逆に、弁護士会が行政書士に市場のパイを取られることを、恐れているように見えてしまうのではないでしょうか。

話がそれましたが、業務範囲が重複している以上、どの専門家に頼むのかはケースによります。

上記をご参考にしていただき、最適な専門家に依頼してください。

まとめ

①司法書士は相続登記と相続放棄をメインに行う。

②それ以外の業務については、その業務を専門としている他士業の専門家に頼むのが間違いない。

③業務範囲が重複しているので、ケースによって判断する。

相続登記や相続放棄がメインの相談事であれば、迷わず司法書士に相談しましょう。

それ以外であれば、各々の専門家にまずは相談するのが一番いいです。

ただ、司法書士は士業の中でも業務範囲のバランスが良く、費用も弁護士に比べれば安価なので、すでに揉めているようなケースでなければ、まずは司法書士に相談してもいいかもしれません。