海外在住の相続人がいる場合の注意点

直政です。

今回は海外在住の相続人がいる場合の注意点について解説します。

海外在住の相続人と分け方を話し合うのは大変

海外在住の相続人の方がいる場合、分割方法について話しあうことは容易ではありません。直接会って話し合える機会も少なく、時差の問題で、電話なども難しい場合もあるでしょう。

相続税の申告が必要な場合は、相続発生から10ヶ月以内に、財産を調査し、分割方法を確定し、相続税の申告を行う必要があります。期限内に申告を済ませないと利用することができない特例もあるため、デメリットも多いのです。

期限内に手続きを完了させるために、海外在住の相続人がいる場合は早めに手続きを行うほうがよいでしょう。

 

手続き面でも苦労が多い

海外在住の方がいる場合は分け方の相談だけでなく、手続き面でも苦労が多いものです。手続き面での苦労はどのようなものがあるのでしょうか。

金融機関の手続には印鑑証明が必要

相続手続きをする場合、金融機関は必ず、被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本の提出を求められます。戸籍謄本が必要な理由は相続人を確定するためです。

相続人が確定すると、相続人全員で署名押印のうえ、各金融機関所定の書類を記載することで、被相続人の預金や株式、投資信託などの金融資産を引き出すことができます。

金融機関所定の書類には署名と実印の押印とあわせて印鑑証明の提出が必要となります。

印鑑証明が出せない!?

海外在住の相続人は印鑑証明を提出することができません。印鑑証明は必ず日本の住所を登録して発行する必要があります。海外在住の方はそもそも印鑑証明を発行することができないため、提出することができません。

サイン証明を取得する

印鑑証明の代わりに利用するのは「サイン証明」と呼ばれるものです。
サイン証明は領事館や大使館で発行することが可能です。サイン証明を取得することで、金融機関での手続きだけでなく、不動産の登記も行うことができます。

海外在住の相続人がいる場合は早めの準備を

海外在住の相続人がいる場合は、通常の相続手続きより複雑になります。話し合いの場を持つことも難しいことも多いため、早めの準備が必要です。高齢の親がいる場合は亡くなってから検討するのではなく、事前の準備を行う事も大切です。遺言を作成するなど、分け方を明確にしておくことや、遺言を作成し、執行者を決めておくことで、スムーズに手続きを行うことができます。