直政です。
前回は海外に居住する非居住者が不動産を相続する場合の手続きについて解説しました。
今回は不動産を相続したあと、他人に貸し出したり、売却したりする際の税金について解説します。
相続した不動産を賃貸する場合
海外に居住する人が日本の不動産を賃貸に出した場合、日本の税法に従って税金を支払う必要があります。
通常不動産を賃貸に出す場合、翌年に行う確定申告によって税金を支払います。確定申告は収入を得た年の翌年の2月以降税金をしはらうことになりますので、税金は後払いということです。
一方、貸主が海外に居住する非居住者の場合、借主が非居住者である貸主に賃料を支払う際に支払い金額の20.42%を貸主ではなく、税務署に納める必要があります。
源泉徴収で納税する義務は借主にある点も注意が必要です。
非居住者は税金を徴収することが難しいため、源泉徴収をすることで、税務署が徴収しやすくしているのです。
相続した不動産は売却した場合
相続した不動産を海外に居住する非居住者が売却した場合も通常の納税と異なります。
海外に居住する相続人が相続した不動産を売却した場合、買主が購入金額の10.21%を税務署に支払う必要があります。こちらも買主に義務が生じると言う点に注意が必要です。海外に住む方からの税金徴収は難しいため、源泉徴収を国内に居住する買主から行うことによって税金の徴収漏れがないようにしているのです。
海外に居住する相続人が不動産を相続する際の注意点
海外に居住する相続人が不動産を相続した際はどのような点に注意をすればよいのでしょうか。
海外に居住する相続人の不動産取引の経験がある不動産業者に依頼する
海外に居住する方が不動産の取引を行う場合、賃貸でも売買でも、通常の取引とは異なる点が多くあります。
手続きに慣れていない不動産業者に仲介を依頼すると、買主や借主がなかなか決まらない可能性や相場よりも低い値段で取引せざるを得ない可能性もあります。
不動産の取引を依頼する前に海外に居住する方の不動産取引を行ったことがあるか確認した方がよいでしょう。
できるだけ経験豊富な不動産業者に依頼することをオススメします。
国内に依頼できる人を確保しておく
不動産業者に手続きを依頼する場合でも、全てのことを任せることはできません。できれば、親戚や友人など信頼のおける人で国内に管理を依頼できる人がいるとよいでしょう。
特に、賃貸に出して長期間契約する際は納税や契約書の確認など、依頼できる人を作っておくことも大切です。