遺贈ってどんな意味?相続や生前贈与との違いについて解説

「遺贈ってなんのことですか?」

「遺言と遺贈はなにが違うのですか?」

 

直政です。

相続手続には、色々な専門用語が出てきます。

遺言や法定相続分、生前贈与などたくさんの専門用語がありますね。

遺贈という言葉は、聞いたことがありますか?

本日は、遺贈について詳しく解説します。

相続や贈与についても、併せてご説明します。

遺贈とは

遺贈とは、遺言によって財産を取得させることです。

つまり、遺言書を書いて相続させることを遺贈というのですね。

意味を聞けば、なんだそれだけかと思うでしょう。

遺言書や相続などは普段耳にすると思いますが、遺贈という言葉はあまり耳にすることがないと思うので、これを機会に覚えていただけばと思います。

では、相続や生前贈与、死因贈与とは何が違うのでしょうか。

相続

相続とは、被相続人から相続人に財産が移転することです。

つまり、死亡によって財産が相続人に移転するという、かなり広い意味で使われる言葉ということになります。

遺贈も、相続という言葉の中に含まれていると考えていいでしょう。

生前贈与

生前贈与は、被相続人が死亡する前に財産を譲り渡すことです。

被相続人が死亡する前になので、相続ではなく贈与になります。

その結果、遺贈の場合は相続税が課せられますが、生前贈与の場合は贈与税が課せられることになります。

死因贈与

死因贈与は、死亡を条件に財産を譲り渡しますという契約の一種です。

契約なので、遺言書で一方的に財産をあげますというかたちではなく、当事者同士で契約をするかたちになります。

被相続人が死亡したら自動的に財産が移転するわけではなく、契約によって財産が移転するので、相続という言葉には含まれません。

遺贈の種類

遺贈には、2つの種類があります。

包括遺贈と特定遺贈です。

包括遺贈とは、割合を指定して遺贈することです。

例えば、「すべての財産を長男に」、「長男に3分の2、次男に3分の1」というかたちです。

現金だけの場合はわかりやすい分け方ですが、不動産などがある場合は割合通りに分けるのが難しくなるので、少し相続手続が複雑になります。

特定遺贈とは、特定の財産を指定して遺贈することです。

例えば、「不動産は長男に、有価証券は次男に、現金は三男に」というかたちです。

財産を特定してくれているので、わかりやすい分け方にはなります。

しかし、それぞれの相続分に不公平感が出てしまうことがあるので、そのあたりを考えた上で指定したほうがいいでしょう。

遺贈の方法

遺贈は、遺言によって財産を取得させることです。

したがって、遺言書を作成して行う必要があります。

遺言書には3つの種類があります。

自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言です。

最も確実な方法が、公正証書遺言となります。

費用が掛かってしまいますが、家庭裁判所で検認の手続を経ることが不要なため、すぐに遺言書を開けて手続に入れます。

遺贈の注意点

遺贈の注意点は、遺留分になります。

遺留分とは、相続人が最低限もらえる遺産のことです。

遺言で財産を指定したとしても、それが遺留分を侵害しているものだとしたら、侵害されている相続人から別の相続人へ遺留分を請求される可能性があります。

そうなると、相続手続が煩雑になり相続人間の仲も悪くなってしまいますので、遺留分のことも考慮した上で、遺贈の中身を考えるようにしましょう。

まとめ

遺贈とは聞きなれない言葉と思いますが、意味を知ってしまえばなんてことはありません。

相続のややこしいところは、相続税との混同です。

相続の問題と相続税の問題は別なのですが、一緒になって考えてしまう人が多いのです。

言葉の意味を知って、相続と相続税を別に考えられるようになれば、相続問題に直面しても問題なく対応できるようになります。